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07 2014

大物 其の参

<其の弐からの続き>

これから、修復作業の過程を紹介しようと思うのですが、
その画像データを色々整理していましたら、
まさかの誤削除をしてしまいました。

あっ!と思った時には、すでに遅し。
バックアップ用のデータごと、消えてしまい、
復旧するも画像データは復旧できず、
作業途中の画像なしでの紹介となります。

まずは、張替完了品がこんな感じです。

P1010168_convert_20140718181602.jpg

今回は、オーナー様が選択された最上級織物にて張替。

前回同様のレンガ張りを、自分も挑戦してみたかったかな。
ちょっと残念。

ただ、このなんともなく見える表面の紙の下は、
かなり労力を注いでいます。

前回のボロボロの状態から、シワやたるみを一切出さず、
角のエッジを復元し、尚且つ、弱った骨組みを生かしながら、
反りを全く出さないというのは、色々と、工夫が必要となります。

まず、虫食いでスカスカの骨組みは、
新しい紙を張ると、そのテンションでまず折れてしまいますので、
浸透率が非常に高いある液体を染み込ませ、
乾燥させて硬化させます。
硬化すると、釘打ちやビス打ちも可能です。

角のエッジ部分の欠けは、
別の粘性の高い液体を硬化させてから、成型。
これらは、無色透明なので、一見では手を加えてある事がわかりません。
さりげなく、でもしっかり修復、といった感じです。

また、今回の場合、古い下地紙を剥離すると襖が損壊してしまう為、
その上から、新しい下地紙を重ねて本張り、という工程になります。

バリバリでゴワゴワの古い下地紙にそのまま新しい紙を張ると、
どうしてもシワが発生しやすくなります。
そこで、古い下地紙の剥がれた部分を霧吹きで伸ばしつつ、
テンションを調節しながら張り直していきます。

欠損部分は、新しく下地紙を継足して、テンションを調節します。
やさしーく伸ばさないとすぐボロボロと破れてしまうので、かなり慎重に進めます。

襖の四隅は、シワが特に発生しやすい部分です。
シワ防止方法として、切込みを入れてある襖をよく見ますが、
そのシワが、
1.オープンタイムが短かった為に発生したのか。
2.框枠が、テンションに負けて発生したのか。
3.張り方がマズくて発生したのか。
では、解決方法が全く異なります。

今回は、切込みでは、逆効果になるので、
2番を避ける為の工夫を表裏四隅に施しました。

最後に、反り防止策です。
骨組みの木の質がかなり弱っている為、
紙張りの水の量やオープンタイム、エアの抜き方、乾燥方法等で、
乾燥するまでに反りの発生有無が簡単に変化します。

上記の工程を1本1本の襖の状態に合わせて、調整していきます。
更に乾燥では、張替完了品を全て平に重ねて、自重で乾燥させます。
こうすると、湿度を安定に保ちながらゆっくり乾燥する為、
反りが発生しにくくなります。

一晩寝かせ乾燥後、反りチェックしますが、
どうしても木のクセで、若干反りが発生するモノがあります。

この場合、もう一度テンションを調節するため、
適所に適量の霧吹きにて紙を伸ばし直し、再び乾燥。
水の量が多かったり、回数が多いと、
かえって反りが酷くなったり、紙の表面が荒れる為、要注意です。

片側だけ霧吹きするのか、両面に霧吹きするのか。
その違いも反りに影響する為、
襖を観察しながら、自分の中のデータを組み合わせて決めていきます。

細かい作業は、上記以外にもたくさんあったのですが、これくらいで。
そんなこんなで、前回のゴワゴワで重ならなかった襖たちが、
こんな感じでスマートになりました。

P1010166_convert_20140718181406.jpg


最初の状態から比べると、イイ感じの仕上りかな。

自分のさせて頂いた仕事が、
文化財財産としてあと何十年か、百年越えるのか後に残ると考えると、
改めて、身が引き締まる思いがします。
また、いい経験をさせて頂きました。

(それにしても、失くしたデータが悔やまれる・・
 みなさんも、どうかお気を付け下さい。)


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