
上の写真のように、このふすまにも虫食い跡があります・・。
それに加えて、縦枠とふすま本体の間にスキマが見えます。
( 長い間放置されてたから、ゆるんではずれちゃったかな。
よし、このふすまから、作業していきますか。 )
なんて考えながら枠をはずしてみますと・・、

上の写真は、枠を外した後のふすま本体の断面です。
しばらく見てもどういう状態なのか、よくわからなかったのですが、
指で触ってみると、ボロボロと崩れていきます。
!!!!!
ようやく、状態が理解できました。
説明しますと、虫クン達が長い年月をかけて、紙と木のお食事をされました。
その後、食べかすとして、おがくずが大量にできました。
それが7mmほどの厚さとなって堆積したために、
最初はキッチリ閉まっていた枠と本体の間を押し開けてしまいました。
と、いう状態のようです。
写真は、ふすま断面に大量に盛られたおがくずです。
つまり、この枠と本体のスキマには、おがくずがビッチリ詰まっているという事です。
急いで、スキマの空いているふすまの本数を数えてみると・・
・・・けっこう、ある・・。
おがくずが出ているという事は、本体の木は中身がスカスカになって、
かなりモロイ状態になっているという事でもあるので、
本体を壊さないよう枠をはずしていきます。
通常、枠は玄能などで打つ事によって、はずしていくのですが、
今回は、打つと振動でバラバラに崩れてしまうので、全てテコの原理ではずしていきます。
そのため、普段の6倍くらいの時間が掛かってしまいます。
普段が30分だとすると、3時間程かけて、はずす作業となります。
おまけに接ぎ木されている部分のパーツが取れたり。
使われてる釘は全て、錆びて完全に固着しているので、
かなり、地道に少しずつ少しずつゆるめていく方法で行います。

こんな感じで、取れてしまいます。
もちろん、これは戻して使います。
下の写真は、バラシの途中経過ですが、木が比較的キレイなものでも、
糊代部分の紙はボロボロで、重ねてもごわついてしまいます。
(奥の2本は、改修したふすまなのでキレイです。)

このボロボロのふすまたちを、修復ですか・・。
木は虫食いでスカスカ、フニャフニャ。
下地紙ははがすと本体が分解してしまうので、修繕しながら再使用。
なおかつ、新しい紙には凸凹やシワが出ないように・・。
頭の中で仕上がりをイメージしながら、作業工程を組み立てていきます。
どうやったら、このふすまたちを生き返らせる事ができるのか。
色々な方向から考えていきます。
ふと、周りのみなさんのご協力のもと成長させていただき、
おかげさまで、こんな貴重なお仕事をさせていただけるのかなあ、
なんて考えてしまいました。
さて、修復作業にかかるとしますか。
( 其の参につづく )
スポンサーサイト