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13 2016

古い台帳下地の襖張替

いつもお世話になっている建具屋様からのご依頼。
年季物の襖張替。

事前に、「かなり古いよ。」の一言。

お客様がご自分で補修された糊跡が、
上から下までビッチリと。
紙色もカビで全体が変色。
襖紙というより、薄い木の皮の様なパリパリ感。
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とにかくバラしてみると、
過去4回程、重ねて張替されていた様子。
道理で激重。

しかも過去4枚の襖紙と下地紙は、
全て茶色く変色してボロボロ。
触ると、灰の様に崩れる状態。
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最終的に、出てきた台帳下地。

一番最初に張られた下地紙が、
一番真っ白且つ、少し前に張られた様に強力なテンション。

昔は、商売等で使用済みとなった台帳を、
襖張替の下地として再利用する事が常。

台帳といえど、かなり高品質の和紙。
現代のヘタな化学繊維より、相当丈夫。

これを下地骨の上に何層にも張り重ね、
乾燥を繰り返す事が、本来の襖の張り方。
大変な手間と時間と技術が必要。

さすがに現代では、諸事情により、
特別な襖以外では見られなく。
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この綺麗で貴重な下地は、残す必要有りと判断。
部分部分の補修をしつつ、
簡易的で申し訳なく思える現代の下地紙で、保護。
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ちなみに、引手も貴重な銅製。
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縦框枠を止める釘も、
現在主流のスクリューやビスと違い、
折れ合いというV形の釘。

これが、紙を張る時によく手にブスリと容赦なく。
服にも引っ掛けやすいので、結構危険。
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張替完了品。

古い襖紙を除去した分、かなり軽量化。
表面のゴワゴワ感が消えて、
ラインのシャープさも。
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単純に襖紙が茶色く変色してから、
4回張替されたと仮定すると、
変色するのに20~30年。
とすると、推定襖年齢80~120歳。

でも、最初の台帳下地は、真っ白。
改めて、先人達の技術の凄さに驚き。

その襖の歴史に参加させて頂いた事に感謝です。

次に張替される職人さんも、
この台帳下地は大事に使って欲しいな。


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