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12 2016

戸襖下地の喰い裂き補修

とある企業様の社宅の襖張替。

結構な張替回数の為、そろそろ下地が弱体化。
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戸襖下地のベニヤ板が剥離状態。

ベニヤ板は、何層かの薄い木板を圧着した構造。
時間経過と共に、湿気侵入や暖房による乾燥等で、
圧着が緩み剥離する事が多々。
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このままでは、張替が出来ない為、
一層目を注意深く剥離作業。
どうやら、前回の張替時に、既に引手付近が浮いていたらしく、
コッテリとボンドで固めた跡が・・
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フラットな下地でないと、紙がキレイに張替できない為、これを補修。
ボンド固着部分を、少しずつカンナ切削。
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ボンド除去後。
縦一列に打ち止めてあった引手釘も除去。
釘穴にはパテ充填。
全面のケバも研磨済。

うーん、引手穴の周囲は、フワフワと板が波打ち状態。
トタン板の様。
さすがに、ベニヤ板も交換時期だと思われ。
4P_20151225_163515_HDR.jpg


でも、諸々の事情で今回は現状で何とかという場合は、
紙で補修。

今回、補修で使用する紙。
カッターや包丁等の刃物で裁断する為、
エッジは、シャープなラインが通常。

しかし、この補修紙の上に襖紙を張ると、
このエッジラインがクッキリと丸分かり。
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そこで、水を引いての喰い裂きという手法で裁断。
これだとエッジが繊維のケバでぼやける為、
上に紙を重ねても、ラインが透けず。

高価な和紙ほど、繊維が長くケバ立ちが激しく、
より透け防止効果有り。

今回は、このケバ立ちでも十分通用するレベル。
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原理はこんな感じ。
Aの矢印の部分が、エッジライン。
b.png
下地現状。
前回の補修跡に加えて、シミも多数。
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アク止め効果も含めて、全面保護。
後は、テンションレベルを調整。
これで、下地のゴワゴワをほぼガード完了。

テンションが強すぎると薄い下地が反り、
弱すぎるとゴワゴワが消えない為、
適度なテンションの見極めが必要。
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エッジ部分。
エッジの周囲は糊代の為、空きスペース確保。

補修紙と襖紙の糊代部分が重なると、テンションにより、
後々、紙が丸ごとゴッソリ剥がれ落ちる事がある為、
わざとずらす張り方。

もし、糊代部分を重ねる場合は、
補修紙の張り方を変更する必要有り。
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この後、薄い下地強化の為、もう一手間加えてから、
襖紙張りにて、完了。

ラインは、全くわかりません。
画像では、全く伝わりません、すいません。
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通常のリペア作業だと、
ポリパテやエポパテを使用の処。
今回の紙のような、常に伸縮を繰り返す材質には、使用できず。

紙は種類、材質、繊維、水の含有度合い等、
組み合わせによって、様々な使用が可能。
それに様々な材料や手法を加えると・・、

もう結果が楽しみで。

紙は万能とは言わないまでも、
かなりオールラウンドな補修材料ではないかな。




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