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04 2015

4枚絵柄のふすま張替

今回は、戸襖の張替。
張替前は、こんな絵柄。

そして、お客様が張替に選ばれた絵柄は、
貴重な存在になりつつある、最高級織物の4枚絵柄。

襖界では、4枚絵柄は単なる襖紙としてではなく、
4枚1セットの芸術品としての別格扱いとなります。
張る側も、相応の技量が要求されます。

昨今、和室の減少と共に、4枚絵柄の需要も減少。
需要の傾向も、”いかにも襖”という絵柄より、
洋室にもマッチしやすいダーク色な無地や、
素材に特徴のあるモノへ変化しつつ。
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まず、既存の紙除去。
糊を浮かせる為に、紙に水引き。

もし下地の合板が弱っていた場合、
水を吸って剥離する事があるので、丁寧さが必要。
1P_20151120_113318_LL.jpg


お客様のご希望により、周りの枠も全交換。
強力な両面テープで接着されているので、
合板をキズつけない様、慎重に剥がします。

お客様のお宅の張替箇所は、
鴨居の真ん中がかなり垂れ下がり、
その上、一部の床の勾配が沈み状態。

その歪みが襖を圧迫して、
なんと5年間も、まともに開閉ができなかったとの事。

そこで、開口寸法を採寸。そしてチリを再計算。
すっぴん状態のふすま達を、新寸法にカット。

崩れていた戸車も全交換。
データを分析しながら、
戸車のコマの高さを調整しつつ、コケ寸法も大方調整。
2P_20151121_140621_LL.jpg


更に、色々細々とした加工作業後、紙を張替えて完成。

画像だとこじんまりですが、実物はかなり迫力あり。
襖紙も分厚く、織り目が細かい布の様。

違和感なく4枚の絵柄が繋がる様に、
襖の幅に合わせて、紙を切り出してあります。
(中央の白い縦ラインは、養生用のテープです。)
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主役の夫婦鶴。
左がご主人、右が奥様かな、なんとなく。
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引手も、松竹の限定品。
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これとは別室の、2本立ても張替。
ちなみに、2本立て襖の絵柄は、
上の4枚絵柄の兄弟絵柄がある為、
それらを使用。
こちらは、松竹梅。
7P_20151124_123925_HDR.jpg


そして、納品。

かなりの開口部の歪みの為、建付けも覚悟していたところ、
ほんの少しのコケ現場調整のみ。
引取時に、押しても引っ張っても動かなかった襖が、
4本ともスイスイ滑ります。

お客様は、
「これで、普通に開け閉めできる♪」
と、大変お喜び。

縁起物が縁起良く納まって、めでたしめでたし。
ありがとうございました。

(建具の加工が大変過ぎて、紙張替作業時の記憶がない・・)



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