
とある賃貸住宅のフローリングの引っかきキズです。
チョット写真が暗いですが、白いテープの上側に剥がれが・・。
長さ1メートルくらい横7ピースに渡って、
なにかゲジゲジと引きずったような、へこんだミゾができてます。
最近のフローリングは、木ではなくMDF(medium density fiberboard)といって、
紙を圧縮して板状にしたモノに、木目調のシート面材を貼り付けたタイプが多くなってきています。
(というか、ほとんどの量産住宅の建材がMDFといってもいいくらい、窓枠や建具・建具枠も。)
その上を重いモノや角のあるモノを引きずったり、落としたりすると、
シート面材がメクレて、簡単にキズがついてしまいます。
そんな、ヘコミキズや引っかきキズ等を補修する事も、なるひ屋の仕事です。
襖と無関係のように思えますが、これが色々スキル的に通じるモノがあります。
まだ、HPには業務として出していませんが、そのうち内容をアップする予定です。
キズ補修のお仕事は、キズの箇所を元の形に復元しつつ、色艶も元の状態に再現して、
キズをできるだけわからなくする美観向上を目的とします。
ただ、焦げや日焼け、欠損や変形、へこみや穴開きなどキズにも色々あり、
対象物の状態も新しいモノや古いモノなど様々です。
そのため、100%の元の状態にする事はできません。
耐久性や対候性を考えた材料や方法をチョイスしますが、
やはり、新品同様という訳にはいきません。
あくまで、わからなくする方法ですので、完全に元通りにするには、
補修ではなく交換という形になります。
フローリングの場合、へこみキズ等で交換・貼り替えするとなると、
ロットをそろえる為、ワンフロアで見積りがウン十万等にもなりかねません。
さすがに躊躇しますよね。
でも、補修の場合であれば、見た目も気にならないレベルになり、
その上、予算も十分の一くらいに抑える事ができます。
それが補修の一番のメリットです。
賃貸経営されているオーナー様や、新築には付きもののキズにお困りの工務店様
は、キズが目立たなくなって、予算を抑えられる補修という方法はいかがでしょうか?

一枚目の写真をもうちょっと、引いて撮ったものが上の写真です。キズのラインがわかります。
このライン全てが、2㎜程の深さのミゾになっています。
このキズの場合、上の状態から、
前のワックス剥離後、剥離して浮いたシート面材を切除、
MDFを固めて、キズを埋めて面出し、木の色を調色して塗装、木目を描き入れていきます。
その後、微調整後、ウレタンクリアにて保護、最後にワックス掛けして艶調整。
作業時間上、下の写真の状態で終了となりまして、今回の出来はこんな感じです。
DIYレベルではなく、お金を頂く仕事として、
どのキズに対しても精度を上げつつ、作業時間を短縮する事が、
難しい仕事です。
コンマ何ミリかの段差でさえ、見分けてしまう人間の精密な目に、
認めてもらう結果を出すには、常にアイデア・工夫・観察力を必要とします。
これは、襖の仕事にも通じるかなと感じます。
そんな自由さとシビアさが楽しかったりするんですけど。

ちなみに、色はもともと木の色があるのではなく、
シアン・マゼンタ・イエローの三原色から調色して、
彩度・明度を調整していく方法でつくります。
塗料は、水性・エナメル系・2液ウレタン等を、現場状況に合わせて使います。
( 昔は、大苦手だった溶剤のニオイが、最近はチョット好きというか落ち着くというか・・。 )
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